小説『赤いお部屋』
作者:DRSTV()

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田辺は少し驚いた表情を見せ又直ぐに嗤った

「無理だよ、日下部君に僕は殺せない」

田辺が此方へ近づいてくる

田辺の足音は消えてしまうんじゃないかと思うほど軽かった


「ねえ・・・、日下部君。僕と素敵な事・・・・・しよっか」
「なっ・・・・・田辺・・・・?」

すると俺は足を蹴られバランスを崩して転んだ

「痛っ・・・・・・」
「日下部君・・・・・・」
「田な・・・・・・・」

                   グサッ・・・・・・・・




「・・・・・・え?」
「くすくす・・・・・・・あっはははははははははははははははは!!!!!!!!!!」
「ひ・・・・・ぎゃあああああああああああ!!!!!!!!!!」

痛い痛い痛い痛い・・・・・・・・

どうやら足をナイフで刺されたらしい
右足の太ももからはとめどなく血が出てくる

「どう?日下部君、痛い?ねえ、痛い?きゃっはははははははは!!!!!!!」
「くっそ・・・・・こんなもの」

太ももに刺さっているナイフに手をかけた
1度だけ深呼吸をして眼を閉じた
そして、俺は意を決したように眼を見開きナイフを一気に引きぬいた

「っ・・・・・ぐああああああああ!!!!!!!」

太ももの血は止まらず鈍痛が走る
このまま意識を飛ばしてしまいたいと思った

しかし、目の前の阿呆を殺さなければならないという執念が大きかった

立つのも奇跡なくらいの足で俺は田辺の所へ向かった

「無理だってば、君に僕は殺せな・・・・・・・・」

ドカッ・・・・・・・


「ぎゃああああああ!!!!!!痛い、痛いいいいいいいいい!!!!!!!!」

「今の俺は誰でも殺せるんだよ・・・・・・・なめてんじゃねえぞ!」


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