小説『赤いお部屋』
作者:DRSTV()

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「ん・・・・・」
俺は血生臭い臭いで目が覚めた
心地い目覚めとはお世辞でも言い難い臭い
身体を置きあがらせると頭がずきんと痛んだ
「あ・・・そっか、俺、スタンガンでやられてそんで」
こっからはスタンガンの後遺症なのか思考回路がショートしていた
そんな時俺はかすかな珈琲のいい香りが鼻をくすぐるのがわかった
辺りを見回すと赤黒い部屋にポツンと目立つ白の食器を見つけた
重い体を無理矢理動かしてそこへ向かう
そこには昔田辺が作ってくれたハムチーズのサンドイッチと珈琲があった
俺はサンドイッチを手に取りちら、と疑った
まさか・・・・毒とか、入って・・・・・ないよ・・・・な
俺はあいつの事だからなにか毒を入れているんじゃないかと思った
そして、毒がまわってきたところで俺を・・・・・
「・・・・いや、あいつはこんな卑怯な事は流石にしない」
自分の胸にきつく言い聞かせた俺は本能のままにサンドイッチにかぶりついた
気付いたらあのサンドイッチはもうパンくずしか残っていなかった
まあ、毒が入っていない事にまず俺は一安心して珈琲をすすった
そのとき
『おはよー、日下部君・・・ああ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!』
いきなり大きな声を上げた田辺に俺は一瞬珈琲を吹き出しそうになった
「っ・・げほっ・・・ごほっ・・・・んだよ!いきなり」
『僕のサンドイッチ食べてくれたんだ!嬉しいな。美味しかった?今までのゴミ共は疑って食べてくれなかったんだから』

・・・・・なるほど。
今までの奴らの通り疑って食べないのがもしかしたら常識だったのかも
俺はそんな事を心に思った
そんな事はつゆ知らずの田辺が次に言葉に出したのはとてつもない言葉だった
『あのね、今日は殺される奴がもう一人いるんだよ。特別に見せてあげる』
田辺が誰かを連れてくる
『日下部・・・・君』
「!!!!!!!!」
聞き覚えのある声に俺は耳を疑った
その声の主は大学で知り合った彼女の亜里沙【ありさ】だった
「っざけんなよ!いくらなんでも親友≪ダチ≫の彼女に手ぇあげっかよ!普通」
『僕だってコイツにちゃんとした理由があるから連れて来たんだよ?』
「くっ・・・・」
田辺の言っている事は正論だ
なんらかの理由があったから此処に連れてこられた
それは分かってる、分かってるが・・・・
俺は何故か納得がいかなかった

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