小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

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10話 守りたい大切なもの













森バルカンがあっという間に、森の奥へと逃げ去った後。

「あっ・・・あっ・・・」

サラは・・・動く事が出来ないようだ。

「さ・・・サラ!」

ランドは逆に・・・サラを庇うように・・・

サラの前に立ち、

目の前の男を警戒した。

状況が・・・まだ飲み込めてないようだ・・・

自分たちが助けられた事も・・・

まぁ・・・あっという間だったから無理は無いと思うが・・・ 苦笑

男は・・・・二人の方を向いた。

「ッ・・・」

サラは思わず目を・・・顔をそらした。

逆にランドは・・・

恐怖を・・・必死に抑えて・・・男の目を見る。

『・・・』


この少年は・・・必死に少女を守ろうとしているのか・・・・・・

直ぐにそれが理解できる。


少年の目は・・・一瞬たりともオレからそらすような事はしない。

しかも、あれだけ体格差のある森バルカンの一撃を何度か食らっている。

立ってるのがやっと・・・ 直ぐにそれがわかる。

それでも・・・他者を守るか・・・

ふむ・・・・・・

『そう構えるな・・・』

そう言う。

「ッ!!」

今まで黙っていた相手が突然しゃべった事に僅かながら動揺していた。

『お前たちをどうこうするつもりは無い。先ほども言ったが ああいった手合いは嫌いでな・・・ まだ、お前たちの方が好感をもてるぞ?』

そう言った・・・

「・・・あ・・・貴方は何で・・・ その・・・私たちを助けてくれたのですか・・・?」

まだ・・・恐怖心が抜けさっては無いだであろうが・・・

勇気を振り絞ってそう聞く。

森バルカンに襲われたときは・・・

あまりにも、馬鹿みたいな事をバルカン言っていた為・・・

?恐怖?というものをあまり感じなかった。

だが・・・

ランドを・・・傷つけられたさまを見て・・・

ランドを・・・失いそうな・・・そんな予感がしたことで・・・

?恐怖?が一気に彼女を支配したのだ。

そんな時・・・

見知らぬ男の人が、助けてくれた。

倍以上はあるバルカンをものともしないで・・・

一気に追い払ってくれた。

でも・・・

私たちは・・・この人の事を知らないんだ・・・

『・・・通りかかった時、多分、君の声だろうな。声というか叫び声か。それが聞えてここに来た。助けた理由・・・か、それは先ほど言った言葉では理由にならんか?』

そう言った。

先ほど言った言葉・・・

ああいう手合いは嫌い・・・

私たちのほうが・・・好感が持てる?

だったっけ・・・?

「じゃ・・・じゃあ、僕たちを・・・襲ったりは・・・?」

ランドは・・・必死にそう聞く。

度胸も据わってるな・・・

そう思っていても本来はそんなこと聞けまいに・・・

先ほどどうこうしないとも言ってたけど・・・・ 苦笑

『・・・はは、しない。それは約束しよう。』

軽く笑い。そう言う。

本当に・・・この少年は・・・

恐らくはこの少女の為にだろうな。

そのくらいの感情は理解してるつもりだ。

『さて・・・ ここには、まだあんな連中がいないとも限らない。街へ帰ろうか。』

俺はこの少年のことがいたく気に入ったようだ。

そういって男は笑っていた。



2人はその笑顔は・・・なんだか・・・落ち着ける感じがしていた・・・

「あ・・・」

安心したのか・・・ランドはぺたりと地面に座り込む。

「ランド!だい・・じょう あれ・・・?」

サラも同様のようだ。

『緊張の糸が切れたか・・・?まあ、仕方ない事だな・・・』

そう言って、2人の側まで来て・・・

ヒョイ!

「ひゃあ!!」「わっ!」

2人を持ち上げ両方の肩に乗せる。

『お前たちの街は マグノリアという街で間違いないよな・・・?』

そう聞くと。

「う・・・うん!」「はっ はい!」

2人はそう答えた。

『ふむ・・・ ここから、北に・・・1〜2kmといったところか・・・』

そう言って、街まで歩き出した。





「あ・・・あの・・・」

ランドが話しかける。

『なんだ?』

歩きながら、聞き返す。

「貴方は・・・誰・・・・ですか? 街じゃ・・・見たことないし・・・」

ランドはそう聞いていた。

まだ 緊張してるのかな?

警戒はしてないようだが。

・・・してたら、肩に乗ったりしないか。

まあ、担いだのはゼルディウスからだけど・・・ 苦笑

『ん・・・?ああ、俺は唯いろんな所を見て回ってる・・・ まあ、簡単に言えば旅して回ってるかな。』

そう言った。

「何処かのギルドとかに入ってたりしないんだ? あんなに強いのに・・・」

ランドはちょっと驚いた感じでそう言った。

あんなに、強い人はギルド意外では見た事がなかったからだ。

「そうだね・・・お兄さん・・・スッゴかったから!」

サラも・・・そう言って笑っていた。

『ギルド・・・?ああ、なるほどな。そう言ったところにははいってはいない。』

ゼルディウスはそう返す。

ギルド・・・というのはまあ妖精の尻尾以外にも見たことは多々ある。

どういったところかは良く分かっているつもりだ。

いわば人間の仕事紹介場・・・?

といった所だろう。

「なんか・・・勿体無いね・・・ お兄さんくらい凄かったら・・・きっと 一番になれると思うのに!」

「うん!うん!」

2人は・・・そう言って笑っていた。

ふむ・・・

子供は笑顔が一番だな。

『お前たちは その、ギルドに入っているのか?』

そう聞くと・・・

「入ってるよ!」「うん!」

そう言って 嬉しそうに、

ランドは右手を・・・

サラは左手を・・・

見せるように出す。

「|妖精の尻尾(フェアリーテイル)!っていう ギルドなんだ!スッゴい楽しいよ!」「うん!」

そう言う本人が楽しそうーに言う♪

『|妖精の尻尾(フェアリーテイル)・・・そうか、お前たちもそこに入っているのか。』

紋章を見て、そして ギルドの名前を聞いてそう言う。

千里眼で、観察してたとは言っても、ギルド全員をはっきり覚えるのは・・・

まあ、無理っぽいし?

「お兄さん 僕たちのギルド知ってるの?」

『ん・・・?ああ、 お前たちのギルドのマスターと会ってな それで、いろいろと聞いたんだ。』

そう答えると・・・

(あっ!ひょっとして・・・・この人がマスターをあんな顔にさせてる張本人だったり・・・?)

子供とはいっても女のコ!

サラは そう感じたようだ。

「へー!マスターと! お兄さん ギルドに興味あるんだ?」

まあ・・・ランドはわかっちゃいないみたい・・・

『興味か・・・ まあ、無いといったら嘘になるな。』

この場所に向かって飛んだのは、俺の中でメイビスがウエイトを占めていたからだ。

単純に・・・好意をもたれることが 初めての出来事だったから・・・というのもあるかもしれない、

「じゃあさ!僕たちのギルドにおいでよ!ちゃんとお礼もしたいし!皆に紹介したいんだ!」

「あ&#9825;それ良いかも!マスターきっと喜びそう・・・&#9825;」

・・・ん?このコメイビスが俺に好意を持ってるって言ってなかったはずだけど・・・

まあ・・・良いか。

『そうか・・・ なら、そうしてみようか。』

ゼルディウスは割りとあっさりと決めていた。

「そういえば、お兄さんは旅の途中って行ってたけどさ!それは大丈夫なの?」

ランドがそう聞くと・・・

ゴスッ!

「ランド!せっかくきてくれるっていってるのに!よけーな事言わないの!」

サラが拳骨!

「い・・・痛いよサラぁ・・・」

頭を抑えて涙目・・・

『おいおい・・・暴れるな、落ちるぞ?  まぁ 旅の事は当てなんかないし、気のままに放浪してるだけだから何の問題はない』

「よかった!」

サラが元気になった!

ランドはまだ頭を抑えてるけど・・・ 苦笑


そして・・・ 暫く進んでいると・・・

「あっ!街が見えてきたよ!」

サラが指をさす。

「あ・・・ ほんとだ・・・・・」

ランドは・・・若干声が小さいような・・・?

『ん?どうした.お前は嬉しくないのか?』

そう聞くと・・・

「い・・・いやっ! そうじゃないんだ! そうじゃないんだけど・・・ 僕・・・ ギルドの一員なのに・・・あんな奴にやられちゃったのが… なんだか…」

・・・・・なるほどね。

悔しかったというわけか、

ギルドが・・・街が見えてきて・・・

皆にそれが知られたら・・・って思ってるわけだ。

『お前は格好よかったと思うぞ?』

ゼルディウスはそう言う。

「・・・え?」

ランドはゼルディウスを見ながら聞く。

『俺は、いろんな所で、いろんな人間を見てきたが… 何かを守ろうと必死に戦った奴、そして 守るために体を張った奴というのは、大人でも思いのほか少ない。今日お前がやったことは、誇って良いさ。』

ゼルディウスはそう言った。

こんな感じなのか・・・?

親の気持ちになるというのは・・・

いや・・・ 心配するのが親・・・か?

まぁ・・・ いいか・・・ 苦笑

「あ・・・ うん!」

ランドは・・・顔が明るくなっていった。

「うん・・・ ランド・・・かっこよかった・・・///」

サラは 顔を赤らめながらそう言っていた。


そして・・・ 3人は街へ到着し、妖精の尻尾(フェアリーテイル)へと向かった。



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