小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

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26話 絆

























『アクノ…ロギア……』



ゼルがそう呟いたその時!

空に巨大な黒い影が見えた。


「なん…だ…? ありゃあ…」


ディアスは呆然とする…


「ドラゴン……」


スタイナーも同様だ。


数多のクエストをこなしてきた。


討伐系も数を多くこなした。


その時、過去に無い例の魔物や野獣にあったことも何度もある。


それ程の猛者なのだ。


S級と呼ばれる魔道士は。


だが…


どの体験と比べても、



【これ】に比べたら、あまりに小さすぎる。


それこそ、見たとおりだ。


竜と人…


呆然としていた時!



『お前ら!!街まで走れええッ!! !!』


ゼルの声が辺りに響き渡る!!


それと同時に!!


街の入り口。


先ほどまで、妖魔がいた街道に降り立った!



ズドオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!



その衝撃は…


マグノリアの街そのものを揺らし。


カルディア大聖堂の壁にはひびがはいってゆく。


民家は全壊しているところもある。


闇が掃われ、多少は落ち着きを取り戻しかけた街が再び荒れてゆく。









「まじかよ!!降りてきただけ…で…?」


街の惨状を見ながら、そう呟く。


あまりの事に、皆が皆…呆然としている。


「皆ッ!!!」


メイビスもゼル同様に叫んだ。


「早く!!逃げましょう!!!子供たちを早く!!!」


メイビスも力の限り叫ぶ!




「く…くそが!!!」「ちい!!」




ディアス・スタイナーは直ぐに正気を取り戻した。



腰が抜けていたり、立てないでいる子供をたちを担ぐ!



「お前ら!いつまでそうやってんだ!!!早くガキたちを守れ!急ぐぞ!!!」


そこに声が聞えてきたのは、


「ジャック!!」


医務室で安静にしていたジャックだった。


「細けえことは後だ!!早くしろッ!!!」


そう言ったと同時に。





“グルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!”





咆哮が…街を駆け巡る!



それだけで 街は、まるで巨大災害を直撃したかのような惨状だ。



ギルドのメンバーは皆、退避行動を取っているが。



【安全な場所など、どこにも無い】



そう思えるほどのものだった。


振り返ると、化物…竜は第二波の構えだ。


最早…絶望か…








『アクノ…』



その時、


ギルドのメンバーは見た。


絶望・災厄… 


その竜の前に立つ…


1人の男を……














『ロギアああああああああああああああ!!!!!!!』







ゼルディウスだった。



両手で魔の波動を迸らす!!




ズギャアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!




その一撃は、竜の体をずらしてゆくほどの威力だった。




『ぬ… この魔力…』



竜が…口を開いた?


言葉を…?


皆がそう思ったが、考えている時間は無い。








『今のうちだ!!出来るだけ遠くに逃げろ!!!』




ゼルディウスは振り向かず、アクノロギアの方だけを見てそう叫ぶ!



「ゼル!!!」


逃げていたが…唯1人残って抑えようとする仲間を見捨てれる者など、ギルドにはいないのだ。


皆が心から信頼しあっているから。


仲間を大切にするギルドだから。


妖精の尻尾というギルドはそう言うギルドなのだ。





『言う通りにしろぉぉ!!!!人間ども!!!!!!』





ゼルは、力の限り叫ぶ!!


その声量は…


まるで、先ほどの咆哮…



【明らかに人間のものじゃなかった。】



そして、感じる魔力も。




「ゼル・・・ にいちゃ・・・?」


泣いていた、ランドは…ゼルの姿が…あの竜とダブって見えてた…


「ゼルディウス…やっぱお前…」


ジャックも同様だった。













『今は俺の言う事を聞け!!貴様らッ!!!』



まだ、何人かは、後ろにいる。


そう感じたからこそ振り向いてそう吠えた。




が…目を離したのが…


失策だった。






“ギュルオオオオオオオオオ!!!!”


“ズガアアアアアアアアアア!!!!!”





アクノロギアの長い尾がゼルディウスを吹き飛ばしたのだ



『がっ!!!』



“ズガアアアアン!!!!”


辛うじて防御をすることは出来たのだが…


受身は取れず、街道の岩に激突する。



「ゼル!!!」


メイビスは直ぐに駆け寄る!


『バカやろ…!!早く逃げろ!!』


メイビスにそう言い放つ。


もう…話す時間すら惜しいのだ…





『…やはり、この 波動… まさか…貴様は…』




竜はゆっくりとした速度で、ゼルの方に向かっていた。


「ッ!!や…やらせない…」


メイビスは…竜に立ちはだかるようにそう言う。


「ゼルは…やらせない!!私の…大切な…大切な…」


そう言いながら…




「オレもだ!!!」

「僕…だって!」

「私も!!」


………………

………………


………………

………………





!!!


その声を筆頭に…


ゼルの前に立つものたちが…増えていった。




『お前ら!?』


逃げたと思われていた。メンバーが…続々と…ゼルの前に立つ。


何故逃げなかった!!!


そう叫ぶ前に…


アクノロギアが呟く。






『…害虫が…』



そう呟くと…





“キュルキュルキュルキュル…………………………………………………………”




辺りの空気…いや、大気を吸っていった。












「ウチに…仲間を見捨てる奴なんか…いねえ!」


「オレたちは… どんな時も、力をあわせて乗り切ってきたんだ。」


「絶対…諦めない!」


「ギルドの力…ギルドの絆を見せてやろうぜ!!!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



皆が声を合わせながら…


そう言う。


大人・子供関係なく。


皆が、手を繋いで…ゼルの前に立っていた。



何を言っても…


どんなに時間を掛けて、説得しようとも…


梃子でも動かない。


そう悟った。


『………』


恐らく奴が使うのは竜の咆哮。


あの規模で使えば、全員…


いや、マグノリアそのものが無くなってしまうだろう。


まるで、最初から地図に無かった。


…と思えるかのように。



「ゼル…!!」


メイビスは、ゼルディウスに抱きついた。


まるで、守る…そう言わんとするように…





“コオオオオオオ…………………………………………………………”




再び大気が震えだした。



それでも、


妖精の尻尾は…


皆が…手を繋ぎ。ゼルとメイビスの前に立っていた…



そして…






“カッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!”






一瞬光ると!



特大の咆哮が放たれる!!



時間にしてそれは本当に一瞬。


一秒も無い程だった。


だが…


確かに、ギルドの皆は聞えた。









 (   あ     り     が     と      う    ) 









そう聞えたのだ…







“ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!”






放たれた咆哮は…



【何か】に激突すると、けたましい音を上げていた。





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