小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

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29話 X778 妖精の尻尾




























そして………。




永い永い年月がたつ…………。




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【X778 フィオーレ王国】


人口1700万人の永世中立国。


そこは魔法の世界……。


魔法は普通に売り買いされており、人々の生活に根付いていた。


そして、その魔法を駆使して生業とする者たちがいる。


人々は彼らを【魔道士】と呼ぶ。


魔道士たちは…様々なギルド…に属しており…依頼に応じて仕事をする。


そのギルドの数…それは国内に多数存在する。


そして……とある町に…とある魔道士ギルドがある。


かつて…


……いや。


……後々にいたるまで数々の伝説を生み出し続けるギルド……。


その名は…


【妖精の尻尾】






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「おらーーー!!帰ってきたな??ギルダーツッ!!勝負しろっー!!」

桜色の髪の少年が黒いマントを羽織っている男に飛び掛る!

「おーナツか?ちょっとまて、今マスターに呼ばれてんだ。」

ギルダーツと呼ばれた男は…ナツと言う少年に手を伸ばし……。


でこ…


ピーーーン!!!!



“ズビシンッッ!!!”



「ほげぇぇぇぇ!!!!」


“ドゴンッ!!”


……デコピン一発で…壁を突き破って外へ…。 苦笑


「もうちょっと待ってろ。終わったら直ぐに相手してやる。」


ニカッと笑いながらそう言い…奥の部屋へ。


「もう 終わってますはい。」


そこにフワフワ飛んでくる猫?が……。



「相変わらずだな…アイツは、勝てるわけねーのに。」

………上半身裸の男の子が……。

「グレイ!服ーーーッ!」

「おお!いつの間に!!」

女の子に注意されていた。

どうやら、無意識で脱いでいるようだ。



「はぁ、グレイじゃねえけど、毎日毎日飽きないねぇ?アイツは。」

「いや、だがその意気は見事だ。諦めず、何事にも挑戦するその姿勢はな!」


そこに……赤い髪の少女と白い髪の少女……。


「っくく… 見事!だって…何様だっつーの。」

「……。言いたいことがあるならはっきり言ったらどうだ!?ミラジェーン!」


なにやら……

険悪な雰囲気に…。


そして、そして、あれよあれよと言う前に……



「このガリガリ女!」「なにを!デブ!!」



罵倒のしあい…



「殺すぞ!エルザ!!!」

「泣かすぞ!ミラジェーン!!」




そして殴り合いに……。



「ああー もう!お姉ちゃん!」「や…やめよーよ……。」


それをとめよう?としている白い髪の女の子と男の子…

どうやら兄弟のようだ。






「くっそーーー!!ギルダーツ!!また挑戦してやるッ!!」

そこへ・・・

先ほど吹き飛ばされたナツが帰ってくる…

「はっ!お前じゃ一生かかっても勝てねーよ。」

そこに……。

半裸のグレイが…




「ああ!!なんだ?やんのか!変態パンツ!」

「勝てねーって!事実を言っただけだろうが!スカタン靴下!」



今度は……ナツとグレイのケンカが……。










「はぁ……なんつー世代だよ…あいつらが、でかくなったらどうなるんだってんだ…。」

「ちげーねー…。」

それを外から眺めている大人たち……。

見ている目は何だかんだで見守ってるようだ。

……。あの子供たちのほうが強そうな気もするけど… 苦笑


「くだんね……。」

金髪の男が横切る…。


「お?ラクサスか?かえってたのか?」

返事をするわけでもなく…。

ギルドの椅子に座る…。


「ったく… 本当に楽しみってんだよ…将来のギルドがな…」

「やっ、まったく……。」
















そして、奥の部屋では……。

「ギルダーツ!戻ったか……。」

ちょこん!っと座っている小さなおじいちゃんが……。

「よぉ…マスター。帰ってるぜ。んで?なんだ?帰ったばっかのオレを呼び出したりして…」

頭をかきながらそう言う。

「ふむぅ…疲れとるとこ悪いんじゃが…ちぃと面倒ごとがあってのぉ……。」

このおじいちゃんは…このギルドのマスター…

マカロフ・ドレアーだ。

キセルをふかしながら…しかめっ面をする。


「どうしたい?珍しい。あいつらが暴れたりして 損害賠償でもきたのか?」

笑いながらそう言う…。

「そりゃ いつもの事じゃい。まあ……確かに頭痛の種ではあるがの……。」

苦笑いする…。



「さて……。本題じゃがの……。」

マカロフは真剣な顔つきになった。

「つい先日…魔法評議会より通達があってのぉ…どうもマグノリアの傍にある渓谷で問題があるようじゃ…」

「んん?あんなところでか?」



あの渓谷は…

それほど、危険があるわけでもない。

昔はうちが所有していた土地らしいが……。

それはもう、何年前なのかもわからぬほど昔の事だ。

大体もう違うし…

道が整備されてないから、一般人が行くのはちょっと骨が折れそうな所だ。





「ふむ……わしも気づかなかったのじゃが……。あの渓谷の中心に位置する場所で、偶然にも評議員が魔力を感知したらしくてな…。珍しいとのことで、その部下に探らせておったら…。子供がその場所にいたそうじゃ。」


マカロフはそう言う…

「子供?」

「うむ……。いくらなんでも、あの場所は子供がおるには、少しばかり危険じゃ。保護しようとしたら梃子でも動かんのじゃと。そしてつい先日実力行使で連れて行こうとしたところ……。 のされてしまったらしいわい…。」

ふぅ……っとため息を出す…。

子供…

そして、大人をぶっ飛ばす……。

自分のギルドの子供たちと重ねてしまったのかもしれない… 苦笑



「それはぁ…穏やかじゃねーな。ガキが大人を…つーか、評議員の連中を…?」

評議員の連中……

それも実力行使というなら強行部隊に所属するものの可能性もある。

勿論魔道士としての能力も高いのだ。

それを……。


「ふむ……。一度や二度であればそこまで大事にはならんのじゃが……もう10度も追い返されてるそうじゃ… まあ、死者・重傷者は出てはおらんのじゃがのぉ……。そこで、わがギルドに白羽の矢が当たったということじゃ…。ちょうどギルダーツが帰っておる時を狙ったのかもしれんがな…。」

渋々了承した。

そんな感じだ。


「へぇ…… 大の大人がガキ1人に…そりゃ 久しく面白い内容じゃねえか。」

ギルダーツは興味津々と言ったようだ。

このギルドには威勢が良いガキは山ほどいる。

だが、ほかでは見たこと無かった。

だから、興味がわいたのかもしれない…。

「すまんのぉ……。いってくれるか?」

「ああ、任せとけマスター。そんだけ力が有り余ってるってんなら、うちのギルドに引っ張ってくんよ。評議員に何かやらかしたってんなら、うちの方が良いだろ?あいつ等に渡したら下手すりゃ牢屋だからな。」

そう言って笑った。


「うむ。それが理想じゃ。若者を…いや、まだ右も左も知らんガキを更正させてやるのも大人の仕事じゃ。……評議員の連中は何をやっとるんじゃ………」


そう言った意味じゃ…情けない…

そう愚痴ってしまうのは仕方ない事だ。


「はははっ、まあ、唯モンじゃねえのは事実。ちゃんと仕事してくるさ。」

ギルダーツが(仕事をしてくる。)

そう言って失敗した事は今までない。

S級やSS級……。

最新じゃあ、5年クエストも達成している。

そんな男だから評議員から声がかかったのだろう。

白羽の矢という名目で。

「……すまんが、たのんだわい。」

だから、マカロフは安心して任せられるのだ。

まあ、依頼主は気に入らないようだが… 苦笑

「おう。任せといてくれ。」

ギルダーツは片手を挙げると……。

そのまま外へ出て行った…。




再び挑んできたナツを“ぺし♪”っと叩いて………。






「きゅう〜〜〜〜…………」

-30-
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