小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

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50話 発見


























「お〜〜い!ジュードく〜〜ん!」

「どこだ〜〜〜!!」




2人で、声をかけながら前へと進む。

心なしか……

霧が深くなっている気がする。


「ん…… 困ったね。霧も深くなっちゃったし……。」

レビィが、ため息をしながらそう言う。

探せど探せど、ジュードが見つからないのだ。

「怪我とかしてなければいいけど……」

その不安も勿論あるのだ。

動けなくなってしまっているとか、何かあって気を失ってしまってるとか……。

「心配だけど……今は進もう。」

ゼクトは、レビィに手をさしだす。

「え……?」

レビィは何故手を伸ばしているのかが一瞬わからなかった……。

だが、直ぐにわかる。


「霧も深くなってきたからね……?オレ達まで逸れちゃったら大変だから。」


ゼクトが笑顔でそう言う。

[手をつないでいこう。]

そう言ってるのだ。

「う……うんっ♪」

レビィは笑顔になってその手をとった。

これで……大丈夫だ。

ゼクトは、手の中にあるレビィを確かめながらそう思う。

それは、ギルドを出る前にギルダーツに言われた言葉。



『何が起こるかわからない。レビィを護ってやれ。』



その事だった。

それに、レビィは自分の初仕事……その為についてきてくれるのだ。

護らないと……。







霧の濃い森の奥へと更に進んでいく。


「……ん?」

ゼクトがふと前に注目していた。

「えっ!……どうしたの!?」

レビィは、ゼクトばかり意識していたからか?あまり前を見てなかったようだ。 苦笑


「霧に何か影みたいなのが写って……。それが動いたんだ。」

そう返した。

「ほんとっ?ひょっとして、ジュード君??」

レビィは笑顔になりそう言うけど……。

「違うと思う……影、大きかったから。」

ゼクトはそういい……あたりを警戒していた。

「そ……それって……。」

レビィは身を硬くする……。

この場所には稀に森バルカンが出るらしいのだ。

でも、遭遇した!って言ってるのはナツだけで……。

その後に森に入った子は沢山いるけど誰一人として会わなかったといっていた。

だから、ナツの嘘なんじゃ……ってずっと思ってたけど……。

「大丈夫。オレがいるからね?」

ゼクトはそう言う。

「う……うん!でも、私だって魔道士なんだからっ!怖がってばかりいられないよ。それに 初めての仕事のゼクトをサポートする為に着たんだから!」

レビィはグッと力を入れた。

「そっか。うん!よろしく!」

ゼクトもそう返す。

そして……影が動いた方へと向かった……。


でも……そこには何もいない…。

少し開けた場所があっただけで……。

「何も無いね……?」

「ん………。」

ゼクトは前に集中していて……、レビィは少しほっとしていたようだ。

「ゼクトの勘違いだったんじゃないかな??」

あははっ!と笑ってそう言う。

でも……ゼクトは前に集中していた.

「ゼクト……?」

そんなゼクトを見てレビィも前のほうを見た。

「……誰か、倒れてる!」

ゼクトがそういった。

「ええっ!!」

レビィも驚いて、その方を見ていた。

初めは霧が深くて……よく見えなかったけど。

輪郭が見えてきた。

それは……木に寄りかかっていた。

背格好は……小さめで……って!

「ジュード君だ!」

レビィが駆け出した!!

「レビィ!!ダメっ!!」

ゼクトが感じていたのは倒れている子より、2つの気配だった。

思わず叫んだが……。


「うぉっほ〜〜〜い!!」


“ダンッ!!!”


レビィの目の前に大きな影が……!

「きゃああっ!!」

思わず尻餅をついてしまった。

「ほ〜〜らっ、うまくいったろ?ウホッ」

そう言うと、もう一匹……。

「ほんとだ〜〜ッ ウホッ!」

出てきた。

「これで、オレとお前で嫁と夫同時に手に入れれたなっ!」

そういいながらハイタッチしてる……。

「そ〜ね〜〜!アンタが駄々こねるから、放置してみたけどっ!上手くいくなんて思ってなった♪」

レビィの周りをくるくる回りながらそう言い出し……。

「ちょちょっ!いきなり現れて何を言ってんのよッ!」

突然の事がいくつも起きてた……。

混乱してたけど……。

1つわかった事がある!!

「嫁っ!?って!!そんなのヤダよっ!!」

レビィは“ブンブン”っと首を横に振っていた。

「ウホッ!ウッホッ♪」

「私は女にはきょーみないけどね〜♪こっちの子 私のもの♪ウッホッ!」

………なんちゃ聞いてない…… 苦笑

とりあえず、この2匹は雄と雌。

目的は……まあ、そう言うことらしい。


「取り込み中悪いけど……。」


いつの間にかゼクトはレビィの傍に来ていた。

「オレ達はその子を助けに着たんだ。……返してもらうよ?」

ゼクトはそう言いレビィを立たせてあげる。

「あっ…ありがとっゼクト!」

スッと立ち上がると……ゼクトの隣に立つ!

「わ……わたし!アンタなんかのになんか絶対ヤダ!それより!!」

レビィは手を差し出し。

「ゼクトの言うとおり、ジュードを返して!何で倒れてるの!?手荒な事したんじゃないわよねっ!」

そう言いながら2匹を睨みつける!

「ウホッ?そんな酷いことするわけないじゃな〜い!だって、私のだんな様よ〜♪突然崖の上から落ちてきたのよ〜 それでそのまま気を失っちゃってね?ウッホッ!」

そういい……そして……。

「返す?そんなわけ無いじゃない!!ウッホ!」

敵意向き向き……。

「その子を待ってる子がいるんだよ!それに親だって心配してる!」

レビィの必死の叫びは全く聞いてくれない。

それどころか、ジュードが倒れているところまでいって動かない。

奪えるもんなら奪ってみろと言わんばかりだ。

「お前はオレの嫁になるんだよっ!ウッほ!」

もう1匹いる……そのもう1匹は逆に近づいてくる。

「誰がっ!こっのぉ〜〜!」

レビィは指で文字を書く!

「わぁっ!?」

ゼクトは驚きながらレビィを見ていた。

「立体文字(ソリッドスクリプト)!FIRE! 」


その空中に文字が並ぶと……。



“ボッ!!!”



燃えたっ〜〜!!


「うほ?」

でも……


相手は巨大な森バルカン。

「あっちいな〜〜!!ふぅーふぅー!」

ちょっと燃えただけで……ノーダメージ!

「くぅ………!!」

レビィは凄く悔しそうにしていた。

「ウッホウッホ!あきらめてオレの嫁になれっ!」

ズッシズッシと近づいてくる……。

「……レビィは渡さないよ。」

レビィとバルカンの間に立つ。

「ゼクト………。」

嬉しいんだけど……自分のふがいなさに腹が立ってしまう……。

サポートする為に……着たのに。

自分は……何のために……?

そう思い……落ち込んで……。

そんな時。


“ポンッ………。”


頭に感触があった。

「え…?」

その感触はゼクトの手だった。

「……最後にもう一度言うよ?……その子を返して。」

力を……こめた言葉だった。



「……嫌だっ!」

「オレもだ!」


返答は拒否だった。


「なら、仕方ない。それにこれは仕事だし……。何より」

レビィの顔を見て、

「渡したくない!大切な仲間なんだから!」

力を……魔力を出した!!


“ギュルオオオオッ!!!”


逆巻く魔力……そして、捲れ上がる服。

その腕から露になるギルドの紋章。

仲間である……家族である証だ。



「ウホッ!!!そ……それは………ッ!!」


その紋章を見た森バルカンは驚愕の表情をしていた。

フェアリーテイルの紋章に見覚えがある様だ。

その紋章に……。


「あっ……あっ……あの時のヤツと……同じのだ!!」

一気に萎縮する……。

「??」

ゼクトは何のことかわからず首をかしげていた。

「ちょっと!何やってんの!さっさと やっちゃいなさいよ!」

後ろではそう言っているけど……。

「ウウウウウウッ……」

ガクガクブルブル震えだして……。

「しっしつれーしやしたーーー!!!!ウホォォォォッ!!!」


“ピューーーーーーッッ!!!”


あっという間に……

「えっ……と………。」

首を傾げて……。

「何で逃げていったのかな?」

レビィにそう聞いてみた。

「さ……さぁ?」

レビィも苦笑い。


「ちょちょちょッ!!!アンターーーッ!!!!」


残った方も……子供を…置いて逃げていった。














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