俺はもうこの時から七海の事を好きだったのかもしれない…
ただ、七海の存在が急に近くなりすぎて気付かなかっただけなのだろう。
“ただの出席番号が隣のクラスメイト”から彼女の存在が近くなったのはその日の放課後だった。
俺は入りたかった柔道部を見学するために武道場へ向った。
まだできたばかりの武道場は新しく、とてもきれいだった。
「こんにちわ。」
頭を下げて挨拶をしてから武道場を見渡す。
「あれ?」
そこには一人の少女以外、誰もいなかった。
その一人の少女も、見覚えがある…
「新條?」
「あっ、久城…」
少女の正体は七海だった。
「お前、こんな所で何してるんだ?」
「…部活の準備。」