博久くんの面会謝絶が解けたのはしばらくたってからだった。
私達は早速お見舞いに向かった。
博久くんはすでに完全個室になり、器具をつけられていた。
あんな薬さえなければ、もっと元気だったのに!
でも、今更恨んでもしょうがないことだ。
博久くんの体力は見るからに落ちていた。
私達は早々に見舞いを切り上げた。
ちょうど、お母様がいらしたので、ご挨拶だけした。
「ゆうちゃんもやけど、いつも来てくれてありがとう」
「いえいえ。そんなおおげさな。当たり前ですから」
「本当に嬉しい。博久もいいお友達に恵まれちょったってことやき」
私達は照れもあって、帰った。
「おんちゃん、だいぶ弱っちょったにゃ…」
「うん…」
「病院、変えたほうがええがとちゃうかや」
「今更どこへ?」
「それは…」
雅巳くんも黙ってしまった。
沈黙が私たちを支配した。
それでも体力を使うだろうからと、しばらく見舞いは控えようとなった。
余談だが、この頃から少しずつ、私は夫である雅巳くんからDVを受けるようになっていた。