そこには、稔弘がいた。
顔に、白い布がかけられている。
嫌だ。
僕は半分無意識のまま、その布をめくった。
嫌だ。
そして、そこにあったのは。
嫌だ!
間違いなく、稔弘の顔だった。
「・・・・・・あ、あ・・・・・・あ」
言葉が出ない。
でも、唇が震えて、言葉にならない音を漏らす。
「あ、あ・・・・・・ア・・・・・・」
『兄ちゃん、おはよう』
『わかってるよ』
『小学生にこんなこと言わせんなよ、兄ちゃん』
『それじゃ、いってきます』
「のり・・・・・・ひろ・・・・・・」
涙が、頬をつたった。
温かくて、冷たい涙だった。