「・・・・・・久しぶりに、青春小説でも書こうかな」
小さくそう漏らして、僕はキーボードをカタカタと打ちつける。
主人公とその友人が高校最後の文化祭を成功させようと奮闘する話。我ながら、ありきたりな話だと思う。でも。
僕の力ではこんなもんだ。
所詮、この程度の話しか書けない。
「ふぅ・・・・・・」
小説を書き始めて小一時間が経った。
疲れた。
久しぶりにこんなに頭使った。
喉が渇いた。
冷たい水でも飲んで、ひと眠りしようかな。そう思って一階に下りていった。
カタッ
「え?」
今家には僕しかいないはずなのに。
いや、違う。
きっと、さっき帰ってきたんだ。僕が、パソコンと向き合ってる最中に。