小説『日常の中の非日常 2』
作者:つばさ()

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「博紀、なにをしている。勉強はどうした」

「・・・・・・父さん」

「稔弘は塾か?」

「ああ・・・・・・いつ帰ってきたの?」

「10分くらい前だな。またすぐに出かけるが」



政治家の父さん。
こんな時間に帰ってくるなんて珍しい。


この、一緒にいるだけで感じる圧力。
やっぱり、この人は苦手だ。

母さんが死んでから、この人は前以上に厳しくなった。僕にも、稔弘にも。



「いってらっしゃい、父さん」

「ああ・・・・・・博紀」

「なに?」

「そろそろ、進路を決めておけ。政治家になるなら、法学部とかいいと思うぞ。T大学とは言わないが、レベルの低いところには好んでいくなよ」



・・・・・・ほら。


僕は政治家になるんだ。

そう決まっている。今更、父さんの決めた運命にあらがえるはずがない。



僕は、自分の夢を追いかけることすらできないんだ。




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