父さんがまた家を出ていった。
出ていった、なんて表現をすると、もう帰ってこないみたいに聞こえるけど、多分、今日の夜には帰ってくるだろう。
5ページも書いたんだ。今日はもう小説を書く気にはなれない。
気分も落ちている。
少し早いが、夕飯にしようかな?
でも、稔弘はまだ帰ってないからな。
あと、30分は帰ってこないかな。
あいつも、勉強好きなわけじゃないのに毎日勉強させられて可哀そうな奴だ。
「はぁ・・・・・・」
ため息をつきながらベッドに倒れ込む。ふわふわのベッドに体が沈みこむ。
こんな高いベッドじゃなくていい。
こんな広い部屋じゃなくていい。
パソコンなんかいらない。
父さんが政治家じゃなかったらって、何度思っただろうか。