第二十三話 実力差が有りすぎるというのも考え物だ
試合のほうは順調に進む。
悟空とジャッキーの戦いは月がまだ出る前だったこともあり、ジャッキーの萬國驚天掌で決着が着いた。
まあ悟空は俺が組み手をしたりして経験や地力が多少上がり、押していたがやっぱり萬國驚天掌は強かった。今は悟空は救護室に運ばれているがどうせあいつのことだ、すぐに戻ってくるだろう。
だが一つ問題がある。悟空の尻尾が生えてきてしまったのだ。もしかしたら月を見てしまうかもしれない。それには気をつけないといけないのだ。ちなみにセロリには言ってあるので安心だ。あとは俺だ、もし見てしまった場合がやばいので仮面の下は目隠しをしておいた。ぶっちゃけ気配で大体はわかるし。
そして俺とクリリンの試合。
『さあ!準決勝は幼いながらもあの!武天老師の弟子であるクリリン選手と謎おおきタキシード仮面選手!どちらもかなり強く、たのしみなしあいだぁ!』
リポーターの人も煽るなぁ。この人のリポーター魂はすごいよな。
「よろしくおねがいします」
「ああ、よろしくクリリン君」
ぺこりと礼儀正しいクリリン。俺もそれに礼を返す。
『それでははじめぇ!』
「はぁぁ!」
そのまま襲い掛かってくるクリリン、先ほどのランファンとは比べ物にならないほど早いが俺にとっては同じようなもの。だが手加減をしなくてはならない。クリリンの突き手を片手で受け流し、受け流しに使った手でそのままクリリンの腹を殴る。
「は、はやい!あいつふざけた格好して強いぞ!」
控え室からヤムチャの声が聞こえてくる。覚えて置けよ?
『クリリン選手ダウン!1・2……』
結構強く入れたからやばいかな?
『7・8「ぐぅ、うう」おーっとクリリン選手立ちました!試合続行です!』
「立ったか、まあちょっとつついただけだしな」
「あ、あれでちょっと?ナスビさんみたいだ」
クリリンが起き上がって言う。ちょっとばれたかと焦った。
その後もクリリンの攻撃をすべて受け流しながら何発もいれ、そして勝利した。終始一方的で、実力差がありすぎる勝負といういうのはつまらないな。
だがなかなかのタフネスで試合終了してすぐにクリリンは普通にしゃべっていた。
「その仮面に何の意味があるんです?」
そうクリリンに言われたので目隠しをしているというと
「はははは!じょ、冗談でしょう?」
俺はニコッと笑って仮面の下の目隠しを見せると絶句していた。そしてクリリンは更に修行しようと呟いていた。うん、最初の目的は達成されたな。自信を失うかと思ったけどクリリンはまだ13歳だ。将来があるから絶望はしないだろう。
目隠しをしていても気をゼロにしない限り、俺は動きを読める。素早い奴ならヤバイがぶっちゃけ今の地球には全く敵がいない。というか攻撃がまず効かない。セロリ以外はだが。
そして決勝戦、ジャッキー対タキシード仮面。どうしようかと考える。圧勝はやめておいたほうがいいとは思うが……悩むな。
『さあ決勝戦です、片方はかめはめ波すら放つ超老人!ジャッキーチェン選手、そして片や謎のマスクをかぶったタキシード仮面選手!かれも武天老師のお弟子さんを一蹴出来るほどの達人であります!』
観客達もかなりヒートアップしているようだ。さあやろうか!
side三人称
舞台に降り立つ二人。片や老人、方やタキシードと仮面の男。
「ほっほっほ、お手柔らかに頼むぞい(いや、マジで!)」
「ははは、こちらこそよろしく(死なない程度には……)」
「……まあ精一杯やらせてもらうわい」
キリッと表情を引き締めるジャッキー(亀仙人)。いかにタキシード仮面(ナスビ)が強者であろうとも自分にも武天老師と呼ばれる意地があると気合を入れる。ただでやられてやる理由も予定も無いのだ。
「(胸を借りる気持ちでやるのは久しぶりじゃわい)」
『それでははじめてください!』
そして二人の影が交差する。
一瞬で位置の入れ替わる両者、そしてその両者ともが残像を残して舞台を転々としながら戦う。あるときは舞台の上空、あるときは舞台の端、そのスピードに見ている観客は眼を奪われる。
だがややタキシード仮面が優勢か。
「さ、さっきより早い!」
「と、とんでもねぇ!」
クリリンの驚きが声音に乗っている。悟空も救護室から戻ってきたようだ。クリリンにとってはさっきどれほど手加減されていたのかがわかるスピードの戦い、悟空にとっては自分が負けた相手が完全に押されているのだ。
そして戦いにわかりやすい変化が訪れた。
残像を残しながら戦う二人だが片方の残像に擦り傷がつき始めたのだ。
「っく!やはり速さではかなわんか!」
そういうジャッキーのほうに傷がある。いかに手加減しているといってもナスビにとって亀仙人の実力は子供にも等しいものだ。そこまでの差があれば手加減しようがスピードも桁違いの差になるのは至極当然だ。
「ならば力で!」
「つきあいましょう!」
速さがだめならば力だと、ジャッキーの発言に付き合うタキシード仮面。
そして今まで舞台を高速移動していた二人が舞台の上でぶつかり合う。
中央にてギリギリと腕をぶつけて押し合う二人だが、やはりタキシード仮面が優勢となる。
そして腕を弾き離れる二人。
ジャッキーが構える。そしてタキシード仮面もそれに習うように同じ構えを取る。
「「かぁぁぁ〜」」
「こ、これは!!」
ヤムチャが驚愕の眼で二人をみる。
「「めぇぇぇ〜」」
「ま、まさかぁ!」
クリリンが先ほどから驚きっぱなしだ。大口を開けている口に手を当てている。
「「はぁぁぁ〜」」
「あの変な格好した奴もできるのか!」
悟空が舞台を見てうれしそうに見ている。
「「めぇぇぇ〜」」
『こ、これはまさかぁあああ!!ジャッキー選手や悟空選手だけではなく!?』
両者の構える手の中に光るエネルギー体が凝縮され、発射されるのを今か今かと輝き始める。
「「波あぁぁぁーー!!」」
そして放たれる閃光。その威力は悟空のときと違いジャッキーも手加減がほぼない。手加減などしたら押し返されるとわかっているからだ。タキシード仮面のほうはかなり力を制限した、じゃないと斜線上のものがすべて吹き飛んでしまうのだ。だがタキシード仮面は普段から戦闘力のコントロールにはかなり気をつけているのでそこら辺は心配が無い。
そして光が収まり。打ち負けたのはジャッキーだった。
「ぐぬう!」
タキシード仮面の打ち勝ったかめはめ波は観客席に当たるかというところで上空に曲げられ被害は無かった。
「ま、曲がった?!」
ジャッキーもこれには驚いた。ジャッキー自身も曲げることはできただろうが限界ギリギリの威力で曲げるのはほぼ無理だ。つまりこれが意味するところは。
「(技でも完全に負けたか!ならば次で最後になろう……これが通じなければ今のわしでは傷もつけられん)」
ジャッキーは悟空との戦いでそれなりに消耗している。やはり年齢的にスタミナ等がきついものがある。そしてジャッキーは自分にできることを考えた。
「タキシード仮面!頼みがある」
「ききましょう」
「次の攻撃、それを何もせずに受けてくれんか?それが破られたらワシは棄権しよう」
「……いいでしょう」
タキシード仮面にはわかっていた。ジャッキーも連戦でかなりの体力が消費されている。そのためこれからの戦いは盛り下がる一方。ならばできる限り最大の攻撃が通用するかを試したいのだろう、と。
ジャッキー(亀仙人)はタキシード仮面(ナスビ)の実力の片鱗を見ているのだ。すべての技能で負けているのなら自分の最大の一撃を当ててみたい。そういう思いがあるのだろう。
「これをみせるのは……悟空の時も言ったが孫悟飯だけじゃった。今日だけで二度も見せることになろうとはのう」
この言葉を聴き、意味を理解したタキシード仮面。だがこれを受けてこその戦いだろう。世の中には男の意地があるのだ。
「萬國驚天掌!」
手から放たれる雷撃のような攻撃がタキシード仮面に直撃する。そしてゆっくりとその体が浮かんでいく。
「き、決まった!!」
とヤムチャの声。やはりタフな悟空がやられた攻撃が当たったというのがジャッキーの勝利を想像させるのだろう。観客の中でもこれで決まったと思うものも多い。
「はぁああ!!」
気合一瞬、タキシード仮面の声が響き渡る。その次の瞬間にはタキシード仮面を襲っていた萬國驚天掌ははじけ飛んでいた。
「やはりか……まいった」
『だ、第二十一回天下一武道会優勝はタキシード仮面選手だあ!!!!!』
そして広がる歓声。
「やはりワシじゃ無理じゃったのう。どうしてそこまで強くなれたんじゃ?」
「エロに費やす時間を全部修行に当ててからじゃないですか?」
「き、きびしいのう。老人はいたわるものじゃぞ?」
冷や汗を流しながらタキシード仮面の皮肉に答えるジャッキー。だが
ドクン
ドクン!
ドクン!!
不意に、心臓の鼓動のようなものがだんだんと大きくなり聞こえてくる。
タキシード仮面もだんだんと一つの気が大きくなるのを感じる。
そして、悟空の体がだんだんと大きくなるのをジャッキーは見た。そしてそれが終わった頃には。
「いやー!!変身しちゃったーー!!」
ブルマの声が響き渡る会場には一匹の大きなサルが控え室のある建物をぶち破り悠々と立っていた。
あとがき
天下一武道会って三回もあるんで小説にするとだれるんですよね。其処をどうにかしなきゃいけないんですが其処までの文才はありませんwでもがんばります。
亀仙人との試合はこれでいいかなと思いますがどうでしょうか?じっさいチートキャラのナスビがこの時期ではちょっと動かすには重いキャラなんですよね。敵が弱くてしょうがないw
外道キャラならかなり動かしやすいんですが、善キャラは制限があるんですよね。