隼人に告げた信二はそのまま立ち上がり背中を見せて歩き始めた。俺もその後についていく。俺は隼人が気になり後ろを確認しようとしたのだがそれを信二は首をふり、止めた。
今、信二は隼人に選べさせようとしていた。人間を捨てるか、捨てないかを・・・。この質問は人間の心の強さ確かめているものだった。信二はまっすぐを見据えて1度も振り替えずに歩いていく。
信二は信じていたんだ。人間の心の強さを・・・まだ、自分たちは捨てたもんじゃないと・・・。
しかし・・・無駄だった。
バンッ!!
トンネルの中で銃声が響く。音はすぐ近くはっきりと聞こえた。
「なんでだよ・・・・なんで!!」
信二は腹を押さえて倒れる。信二の姿を確認。そして、後ろにいた隼人の姿を確認した俺は目を疑った。
隼人の手には拳銃。先からはゆらゆらと煙が上がっている。
でも・・・俺はそんなことで目を疑ったんじゃない。
隼人の顔・・・顔が笑っていたんだ。人を撃ったのに笑っていた。それは憎しみに満ちた顔そして満足感を得た顔にそっくりだった。
俺はわれに返り、信二の所に駆け寄る。信二はわずかだが息はしていた。