「どうしてもいません。信二さんもうしゃべらないでください」
俺は必死に涙をぬぐいながら、信二さんに話をかける。今はどうでもいい。信二さんが生きていればそれでよかった。
「なぁ・・・悟・・・俺はお前にあって・・・よかった。あの時・・・お前に合わなかったら・・・俺は・・・こう笑っていることが・・・できなかった」
笑いながら信二は俺に言葉を告げる。まるでそれは最後の言葉のように俺は聞こえてきた。
「人間・・・誰だって・・・怖いと・・・思うときが・・・ある。俺だって・・・お前と始めに合ったとき・・・殺されるかと・・・脅えたよ。でも・・・お前は違った・・・脅えてはいたが・・・すべての人を助けたい・・・なるべく大勢を・・・と思って行動をしていた・・・。お前を見て・・・俺は確信した・・・こいつなら・・・このゲームを終わらせる・・・ことができると・・・。うっ!!」
信二が口から血を吐いた。胸の傷口からも大量の血が流れており、顔色がどんどん悪くなってきている。信二がしゃべり続けるから余計にひどくなってきているのだ。
「信二さん。もう話さないでください。このままじゃ、信二さんが・・・」
「わかっているよ・・・もう俺は命はないことなんか・・・」
「そんなこと!!」
俺の目から涙がこぼれてくる。ぬぐってもぬぐっても涙は止まることがなかった。
「悟・・・人間は弱い生き物だな・・・隼人を見ていると・・・それはわかるよ・・・」
その言葉で今まで忘れていた隼人をみる。隼人はいまだに笑いながらこちらを見ていた。まるで、信二を死ぬのを待っているかのように。