小説『ワールドブレイカー(日本消滅)』
作者:真龍 白虎()

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仮面の男は黙って俺を押して誘導する。もちろん、拳銃は腰に当てられたままである。この状況で何もできないと悟った俺は、仕方なく男の指示に従った。最後に隼人がどのような顔をして見ていたのか簡単に想像ができた。仇がとれない・・・辛い選択だった。

つれられて少し立ち、仮面の男がふとは歩みを止めた。そこはどこも変わらない壁。いままで見ていたトンネルの途中。

仮面の男はポケットに手を入れるとあるものとりだした。小さいリモコン式のボタン。真ん中には赤いボタンがついている。仮面の男はその赤いボタンを迷いもなく押した。すると、さっきまで何もなかった壁が扉のように横にスライドし空洞が現れた。

「こんな所に・・・」

仮面の男は俺を押して空洞の中にはいる。空洞の中はトンネルと変わらず薄暗い。トンネルと違うのは階段を上っていることと電球がポツポツ照らしているところ。

階段を上り始めて10分が経過した。いまだに手を縛られているためちゃんとした時間がわからないのだが、そのぐらい経過したに思える。今も変わらず階段を1段1段と上っている。少し時間がたち、前から明るい光が漏れてきた。今まで暗いトンネルの中にいた俺はあまりのまぶしさに目を細める。そして・・・光が差した所に俺は出た。

「何だ。ここは?」

俺だ出たところは外ではなかった。何もない、真っ白な部屋。つくり的に正方形の形をしているのだが部屋にしてはやけに広かった。

部屋の中には男が4人座っており、顔を伏せている者、俺に気付き睨みつけてくる者、2人で話をしている気楽な者、人それぞれいた。ただし、みんな違う行動を取っているのだがどれも何かを忘れよう、まぎわらそうとしているようにも見えた。

今まで縛られていた手がここについてはずされた。全体的に周りを確認した後、俺は話をしている2人組のところに近づいて話をかけた。

「俺も話に加わっていい?」

そう、俺もまぎわらせようとした。人を殺した・・・信二さんを殺した現実のことを。

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