キャイン!!キャイン!!
ジョギングで町内を1周していた私は、朝の公園のそばで犬が悲痛に泣き叫ぶ声を聴いた。
私はジョギングの足を止め、公園の中に入って行った。
すると、見たことのある男子がブランコの前で犬を蹴っていじめていたのだ。
私は木の陰に隠れてそれを見ていた。
犬は傷だらけ、毛で見えないが皮膚があざだらけになっているに違いない。
その男子はうちの学校で不登校になっている隣りのクラスの男子だ。
私が木の陰から現れて彼のことを咎めようとすると、そそくさと犬を連れて逃げて行った。
強者を装っていてももともと弱虫な性格をしていて、いくらいじめられて不登校になっているからといって、自分がいじめられていることの腹いせに自分より弱い者をああやって乱暴にいじめるそいつが
世界一陰険な男に思えた。