小説『デッドボーダー』
作者:takeukuri()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>


 今日も空は快晴、文句なしの日本晴れだ。
 しかし、俺の心は曇り空のようにどんよりしていた。

「ほら〜!!こっちこっち!」

 そんな俺の内心も知らずに、あいつは二〇メートル先で元気よく右手を振っている。俺はため息を吐きながらあいつの所へ歩く。

「待ち合わせは一時じゃなかったか?」

「細かいこと言わないの!それに、私からお願いしたんだから待たせるのも悪いじゃない」

 そう言ってにっこり笑う。心遣いは嬉しいが、なら今回の買い物の内容をもう一度考え直してほしい。
 しかし、天真爛漫なこいつがそんなことを考えるはずもない。

「さあ!約束通り、今日はとことんつき合ってもらうわよ」

「もちろんいいさ。ただ……」

「よし!!それじゃあ、まずはあそこからね」

 そう言い俺の手をぐいぐい引っ張る。

「ちょっ、人の話を最後まで……!!

「男のくせにごちゃごちゃ言わない!!さっさと入るわよ!」

 そのまま俺たちは女性物下着専門店の中に入って行った。

-2-
Copyright ©takeukuri All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える