小説『魔法少女リリカルなのは−九番目の熾天使−』
作者:クライシス()

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 プロローグ 後編



「・・・・ろ」

 ん?誰だ?声が聞こえる?

 人が折角寝ているのに安眠妨害するのは誰だ?

「・・・きろ」

 あれ?そう言えば俺は一人暮らしだったから誰もいないはずなんだが・・・?

「起きろ!馬鹿者がっ!!」

「うおおっ!??」

 おい!人の耳元で大声をだすな!

 もの凄く痛いじゃないか!

「ったく・・・やっと起きたか?」

 そして、俺が起きると目の前には金髪幼女・・・・・ではなく、あんちゃんが立っていた。

「アンタ誰?」

「ん?俺か?俺はオーディンだ。ほら、北欧神話に出てくる奴だ」

「おおー・・・・・で、俺に何か用?」

 北欧の主神とかどうでもいいから眠いから早く用件を済ませて欲しい。

「お前・・・何気に酷い事言ってるな・・・。それに、ここまで無関心なのも何だか悲しい・・・」

 ん?なんかオーディンが凹んでるな?どうしてだ?

「お前さんのせいだよ・・・。・・・まあいいや。ところでお前さん、今の人生が退屈だと思っているだろ?」

「ん?そうだが?」

「それならば俺がお前に刺激を与えてやろうか?お前が望んでいるように他世界へ飛ばしたりもするし、絶対的な力も与える。どうだ?」

 ほう?そんな事が可能か?ならば今の俺に断る道理は無い!

「よっしゃ!なら世界はそうだな・・・・ISだ!それじゃあ力を望むがいい!何でも(・・・)いいぞ?」

 何でも?ほほう!それならば!

「力はACの架空兵器、ナインボール・セラフをベースとしてアヌビス、AC4、ACFAの技術者に改造を頼む。それと、俺の改造も・・・な?」

 力を手に入れるにはそれに見合った代償と苦痛を味わうのが筋ってものだろう?

「・・・・・お前、中々見所がある上に面白いな!お前のような人間は初めてだ。いいだろう!お前の望み、叶えてやる!まずは力の準備だ」

 そう言ってオーディンは杖を取り出して何か魔法陣のようなものがいくつか出現した。

 そして中から人が出てきて・・・・

「よし、ナインボール・セラフを改造するためにトーラスからの天才(変態)とアヌビスのリコア・ハーディマンを呼んだぞ!」

 すると科学者っぽい人達が全員嗤って俺と設計図を見ていた。

「ほほう?コレは面白い素材だ!」
「改造のし甲斐がありますな!」
「くくくく・・・・楽しみだ」
「生きの良い坊やだわぁ・・・うふふ・・・」

 相変わらずトーラスは変態力が凄いな・・・ちょっと不安になった。

「ふむ・・・これが他世界の機動兵器か?メタトロン無しで此処までの物を設計するとは・・・世界は広いな。これにジェフティやアヌビスの武装と
 装甲をメタトロンで覆えば・・・・くっくっく、面白いな」

 うん・・・俺、ヤバイかも?今更だけど・・・

「さあ!存分に楽しめ!」

 ま、何とかやってみるさね・・・








「本当に耐えきるとは・・・・やはりお前は面白い人間だな!」

 オーディンが賛辞を送るが、あまり嬉しくない。

「うむ、完璧だ!これならジェフティ達と互角に戦えるぞ!」

 リコア博士も褒めてくれている。あと、変態科学者共もほくほく顔なのだが・・・?

「ああ・・・自分で言った事だからな。耐えきるのは当然だ」

「いやいや、普通の人間なら精神がとっくに崩壊している。それを理性を持ったまま耐えきったのだ。誇っても良いぞ?」

 俺も色々手術やら実験やらで苦痛を味わってきた。

 そして、機体も魔改造されている。

 形状は変わらず、装甲がメタトロンに変更されている。動力は反陽子生成炉(アンチプロトンリアクター)を使っているからコジマ粒子の汚染は無い。

 あと、カラーが真っ黒になっていてアナザー・セラフみたいになっている。

 可変も可能で、体に無理が無い程度に設計されている。ま、そこまで苦しいものじゃないから大丈夫だ。

 因みに、飛行形態になると角のような部分がレーザーブレードの様になり、相手を串刺しに出来る『Phantom Killer』という
 ネタ武装がある。これ、日本語に訳すと『通り魔』って意味だぜ?呆れを通り越して笑えるよ。

 これを考えたのはトーラスの変態共だ。

 武装は―――
 ・ゼロシフトと
 ・ホーミングミサイル『Chaser』
 ・ゲイザー『Captor』
 ・垂直ミサイル[Snake]
 ・パルスキャノン『Stardust』
 ・両腕にブレード『Akatuki』
 ・アサルトキャノン『Ω(オメガ)
 ・アラウンドオービット『Fairy』

 ―――等々、チート満載だ。勿論、ベクターキャノンもある。

 ただ、変態達の輪にオーディンが交じっていたのは気のせいだと思いたい・・・。

 それと、俺には経験が不足しているので、調整を兼ねてACのリンクス達とジェフティ、アヌビスとの戦闘訓練を一年間やらされ続けた。

 やっぱ、『ホワイト・グリント』や『ステイシス』は流石というべきか、速攻でボコボコにされた。『グレイグルーム』や『スプリットムーン』
 も強い。いや、ぶっちゃけて言うと、リンクス全員が強すぎ。最初は誰にも勝てなかったな!

 それと正直、ジェフティとアヌビスはチートだわ。ゼロシフトって見えないもん!瞬きしたら後ろにいるもん!怖すぎだよ!!

 そしてゼロシフトを使いこなすのにかなり手こずった。だが、そこはリコア博士が作ってくれた独立戦闘支援ユニット『ルシフェル』が
 サポートしてくれるおかげで大分様になった。

 機体名は『ナインボール・セラフ』。やはりこの名前が一番しっくりくる。まあ、捻りが無いのがネックだが・・・。

 それと、調整が完了した後には疑似体験でAC4Aの世界やアヌビスの世界を体験させられた。特にAC4Aあまり良い気分はしなかったな。
 なにせ何千万人が乗った艦を墜としたのだからな・・・。

 因みに、待機状態は黒い珠で俺の鳩尾に埋め込まれている形になっている。

 俺は結構うっかり癖があるので落とさないようにという措置だ。

 なんか、アホらしい理由だな・・・ 

「さあ、そこの扉を潜るとISの世界だ!行くがいい!」

 そしてオーディンは俺の後ろに扉を作って言った。

 なんかバチバチいってるが大丈夫だろうか?

「ああ・・・ありがとうな、オーディン。それと、変態共とリコア博士もな!」

「うむ!」

「ああ、存分にその力を振るうがいい!」
「我々は此処で最高傑作の活躍を観察させてもらいますぞ!」
「くくく・・・また改造してやるよ」
「うふふ・・・またいらっしゃい」

 ・・・・・後に言った二人、絶対に来ねぇからな?

「今の君はジェフティやアヌビスにも劣らん。健闘を祈るぞ!」

 そして最後にリコアが言うのに手を振って答え、俺は扉を潜った。

 なんか痺れるのは気のせいだと思いたい。






「・・・・あれ?そう言えばISって何だ?」

 俺、大丈夫かな?
















「あ、間違えて他の世界に設定してしまった・・・・・・ま、あやつなら何とかするだろう。はっはっは!」

 頑張れ煉くん!!

-2-
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