小説『ダーウィンが来た』
作者:市楽()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

 ダーウィンが来た。今日も今日とて男子小学生が3人いる。

5分としない内にそれぞれの母親がやって来る。流石に慣れたらしい。

一人はどつかれながら引きずられ、一人は心配させないでと怒られて反省しながら帰り、最後の一人はそんな

に餌やりたいのなら自分のこずかいで買いなさいと諭されながら帰っていった。

もう来ないだろうかと思っていると三日後一人増えて4人いた。

少し心配になってまた怒られないのかと聞くと、今日のキャベツは自分達のこずかいで買ったし、行く前に

了解を得てきたから大丈夫だと言う。

そこまでして餌をやりたいのか?と聞くと揃って「うん」といい返事を真直ぐに返してきた。

そうか、と言って一緒に見ていると4人目の母親がやってきてゾウ亀にキャベツを差し出している息子の手を

とり「危ないからやめなさい。指を噛みちぎられるわよ」と絶叫すると、

あっけにとられる小学生4人とおれをまとめて怒りだした。

なんでおれまでと思っていると、茶碗を片手に持ったダーウィンが、

「奥さんそれはゾウ亀です。奥さんが心配しているのはワニ亀ですよ。そいつはおとなしいから大丈夫です」

と言いながらやって来た。いつもダーウィンはうちに晩飯を食いに来る。

-3-
Copyright ©市楽 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える